七人の老師

七人の老師⑦

前ページ    戦うのだろうか。これは流石に無理なのではないか。タダシは老師Aの危機を感じた。  だがそれでも、タダシは格闘術の可能性を信じたかった。槍を前にしても怯まず立ち向かった老師A。逆境にも負けず武器とい...
七人の老師

七人の老師⑥

前ページ    老師Aが勝った。  タダシは嬉しかった。老師Bの無念を背負い、武器という残忍な企みを正義が打ち破ったのだ。喜ばずにはいられない。    やがて卑怯老師がよたよたと立ち上がり、老師Aと握...
七人の老師

七人の老師⑤

前ページ    老師Aは腰を落とし両の拳を胸の前へと持ち上げ、再び構えた。槍を持つ老師もまた腰を落とし、その下から槍の先を老師Aへと向け、戦いの意思を示している。    戦うのだろうか、老師Aは先ほど壮絶な...
七人の老師

七人の老師④

前ページ    数秒だろうか、タダシには長く感じたが、少しすると老師Bはゆっくりと起き上がり、老師Aはその側へと歩みを詰める。2人は熱い握手を交わし、抱擁する。    なんて美しいんだろう。   ...
七人の老師

七人の老師③

前ページ    ただ、タダシにはよくわからない。  何故、朝の公園で老人が2人で殴りあっているのか。よくわからなかったが、タダシは少し見守ることにした。彼らの動きはそれ程魅惑的で、かつて少年だった者が等しく目指し...
七人の老師

七人の老師②

前ページ    白く長い髭。禿げ上がった頭。    この人達は仙人です、と言われれば、迷わず信じてしまうような、そんな外見。老人には似つかわしくない爆裂的な筋肉の量だけが仙人らしさからかけ離れ、違和感を放っ...
七人の老師

七人の老師①

他作品へ    タダシは困惑していた。      早朝、という程ではないが、目覚まし時計に頼ることなく自然と目を覚ました休日の早い時間。見ていたであろう夢をすぐに忘れ、少し空腹すら感じるような、気持ち...
上空、帰る

上空、帰る⑪(終)

前ページ    船は落下速度を抑え、水平飛行に移る。  僕は携帯電話の電波状況を確認し、電話を掛けた。   「……眼科、終わった?」  通話が始まるとほぼ同時に、彼女は言う。    ...
上空、帰る

上空、帰る⑩

前ページ    自室で必要な荷だけを簡単にまとめ、エレベーターで最下層に降りる。  最下層は緊急脱出用のハッチだけしかなく、エレベーターを降りると、目の前には小型の脱出艇が肩身狭そうに待っていた。   ...
上空、帰る

上空、帰る⑨

前ページ   「それに」  彼は続ける。 「お前がどれだけ何を頑張っても、結果は変わらない。そこは理解と覚悟をしておいたほうがいい」 「何もしませんよ、僕は。誰にも言いませんし、逃げもしない。故郷の人...
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