七人の老師④

七人の老師



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 数秒だろうか、タダシには長く感じたが、少しすると老師Bはゆっくりと起き上がり、老師Aはその側へと歩みを詰める。2人は熱い握手を交わし、抱擁する。

 

 なんて美しいんだろう。

 

 タダシの心は揺れ動いた。

 

 こんなに美しい光景に、結果だけで優劣がつけられるはずがない。タダシは誰にも聞こえないであろう拍手を心の中で打ち鳴らした。

 

 抱擁した老師達は少し離れ、お辞儀をする。頭を上げた老師Bは公園の広場から去り、やがてタダシの視界から消えていった。

 今日はなんて良い日なんだろう。

 ありがとう。最強を目指したであろう2人の男の結末に、タダシは天を仰ぎ感謝した。

 

 再びタダシは公園を見下ろす。何故か老師Aはまだ同じ場所に居る。

 まだ何かあるのだろうか。

 

 タダシが疑問に思い始めた頃、公園の木々の陰から新たな老人が現れた。

 新たな老人も老師Aとほぼ同じ外見をしている。違いは袴の色。この老人は薄黄色の袴を履いており、その手には何か長いものが見える。

 

 人間2人分の長さはあろうかという棒。先は鋭く光沢を放っている。

 

 槍だ。タダシは理解する。

 槍を持った老師が現れた。



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