七人の老師

前ページ 　 　やがて公園の砂塵は立ち消え、かつてロボットだったものの残骸が姿を現す。 　ロボットは負けた。少年達の夢は、ミサイルという非人道的な科学の前にひれ伏した。 　タダシはもう、何もかもが嫌になった...

前ページ 　 　カッコいい。 　 　現れた人型巨大ロボットにタダシは眼を輝かせた。全ての少年がかつて憧れた巨大ロボット。それが今、タダシの目の前に降り立ったのだ。 　アパートの3階から見つめるタダシと...

前ページ 　 　戦車対ロケットランチャー。 　 　勝てるのか、ロケラン老師は。 　 　タダシは先の戦いでの火力に魅せられていた。戦車がいかに堅牢であろうとも、全てを殲滅させる圧倒的な力を、ロケッ...

前ページ 　 　初めて見る実物のロケットランチャーに、タダシは興奮していた。今までゲームの世界でしか見たことのないそれがそこにある。それだけでタダシは嬉しくなった。どうせこの2人も戦うのだろうから、ロケットランチャー老...

前ページ 　 　戦うのだろうか。これは流石に無理なのではないか。タダシは老師Aの危機を感じた。 　だがそれでも、タダシは格闘術の可能性を信じたかった。槍を前にしても怯まず立ち向かった老師A。逆境にも負けず武器とい...

前ページ 　 　老師Aが勝った。 　タダシは嬉しかった。老師Bの無念を背負い、武器という残忍な企みを正義が打ち破ったのだ。喜ばずにはいられない。 　 　やがて卑怯老師がよたよたと立ち上がり、老師Aと握...

前ページ 　 　老師Aは腰を落とし両の拳を胸の前へと持ち上げ、再び構えた。槍を持つ老師もまた腰を落とし、その下から槍の先を老師Aへと向け、戦いの意思を示している。 　 　戦うのだろうか、老師Aは先ほど壮絶な...

前ページ 　 　数秒だろうか、タダシには長く感じたが、少しすると老師Bはゆっくりと起き上がり、老師Aはその側へと歩みを詰める。2人は熱い握手を交わし、抱擁する。 　 　なんて美しいんだろう。 　 ...

前ページ 　 　ただ、タダシにはよくわからない。 　何故、朝の公園で老人が2人で殴りあっているのか。よくわからなかったが、タダシは少し見守ることにした。彼らの動きはそれ程魅惑的で、かつて少年だった者が等しく目指し...

前ページ 　 　白く長い髭。禿げ上がった頭。 　 　この人達は仙人です、と言われれば、迷わず信じてしまうような、そんな外見。老人には似つかわしくない爆裂的な筋肉の量だけが仙人らしさからかけ離れ、違和感を放っ...