上空、帰る 上空、帰る⑪(終) 前ページ 船は落下速度を抑え、水平飛行に移る。 僕は携帯電話の電波状況を確認し、電話を掛けた。 「……眼科、終わった?」 通話が始まるとほぼ同時に、彼女は言う。 ... 2022.12.07 上空、帰る
上空、帰る 上空、帰る⑩ 前ページ 自室で必要な荷だけを簡単にまとめ、エレベーターで最下層に降りる。 最下層は緊急脱出用のハッチだけしかなく、エレベーターを降りると、目の前には小型の脱出艇が肩身狭そうに待っていた。 ... 2022.12.06 上空、帰る
上空、帰る 上空、帰る⑨ 前ページ 「それに」 彼は続ける。 「お前がどれだけ何を頑張っても、結果は変わらない。そこは理解と覚悟をしておいたほうがいい」 「何もしませんよ、僕は。誰にも言いませんし、逃げもしない。故郷の人... 2022.12.05 上空、帰る
上空、帰る 上空、帰る⑧ 前ページ 僕は続けた。 「異星人である僕をどう思うかなんてわかりません。わからないし、興味もない。この先、僕の素性を告白するかどうかも決めていない。でも、彼女は僕を祝いたいと言ってくれたんです、今、僕を。他... 2022.12.04 上空、帰る
上空、帰る 上空、帰る⑦ 前ページ 彼は新しい煙草を一吸いし、眉間に少し皺を寄せながら煙を吐き出す。気持ち良いのかどうか、表情からではよくわからない。 煙を吐き切ると、彼は続けた。 「ということで地球人は殲滅しなければならん... 2022.12.03 上空、帰る
上空、帰る 上空、帰る⑥ 前ページ 「それはわかってますよ。受け入れてくれない以上、殲滅する他ないです。でも何ででしょうね? 皆、良い人なのに」 「まぁ、良い人ばかりだとは俺も思うよ。でも個々人では良い人だけど、彼等は群れると妙に他集... 2022.12.02 上空、帰る
上空、帰る 上空、帰る⑤ 前ページ 「いや、まぁ、姿形はほぼ同じだからさ、そういうこともあるのかもしれないけどさ……でも理性というものがさ、許さないと思うんだよ、俺はさ、普通」 彼は狼狽している。でも、別にそんなに変な事だとは、僕は... 2022.12.01 上空、帰る
上空、帰る 上空、帰る④ 前ページ 「いやもう無理だけど、何で? 何かあったの?」 彼は僕に聞いてくる。一応、理由くらいは聞いてくれる時点で、やっぱり悪い人ではない。悪い人ではないが、もう少しくらい融通を効かせてくれたなら、もっと悪... 2022.11.30 上空、帰る
上空、帰る 上空、帰る③ 前ページ エレベーターを降り、廊下の突き当たりの喫煙室に進むと、やはり彼はいた。ガラス戸の向こうで、旨そうに煙を吐き出している姿が見える。 彼は灰皿の前で天井を見つめ、だらしなく開いた大口から白い煙を立ち... 2022.11.29 上空、帰る
上空、帰る 上空、帰る② 前ページ しかし、どうしたものだろうか。 まさか今日を僕の誕生日にしていたとは、完全に忘れていた。暫く会えていないこともあり、少し怒らせてしまっている気もする。でも、それでも祝ってくれるというな... 2022.11.28 上空、帰る