「それはわかってますよ。受け入れてくれない以上、殲滅する他ないです。でも何ででしょうね? 皆、良い人なのに」
「まぁ、良い人ばかりだとは俺も思うよ。でも個々人では良い人だけど、彼等は群れると妙に他集団を毛嫌う傾向があるって、わかったじゃないか」
彼の指先から灰がまた落ちた。次は絶対にあなたが掃除しろよ、と僕は思う。
「まぁ、そうですね」
僕は落ちた灰を凝視しながら返事をした。
「だから、それを報告しに、戻るんだろう?」
「そうですね、そろそろ我々の星、ヤバいですからね。皆、入植先を待ってますし。故郷の皆が生きるためにも、早急な地球人殲滅は必要だと思います。その意見は変わりません」
「わかってるじゃないか…… ようやく見つけた居住可能な惑星に先住民がいたのは不幸だ。だが、我々にはもう手段を選んでいる時間は無いんだ」
彼は根元まで燃え尽きた煙草を灰皿で揉み消して、新しい煙草に火を点ける。金属製のライターの金音が耳に残った。
そのライターが地球製である以上、彼だって地球に思い入れが無いわけではないだろうに、きっと彼は言葉を選んで話している。しかし、そこには触れずに彼の続きを僕は待った。
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