老師Aは腰を落とし両の拳を胸の前へと持ち上げ、再び構えた。槍を持つ老師もまた腰を落とし、その下から槍の先を老師Aへと向け、戦いの意思を示している。
戦うのだろうか、老師Aは先ほど壮絶な戦いを終えたばかりだというのに。それも、素手に対し武器を持って。
卑怯。
タダシにはそう思えた。
しかし両者は今にも戦い始めようとしている。
タダシは老師Aを応援することにした。無手に対し、槍は惨い。タダシが応援し啓蒙した老師Bの魂と共に、武器という残忍な理性をぶち破ってほしい。タダシはそう願った。
静寂が流れる。公園の中の空気の緊張は遠目でも明確に感じ取ることができ、周りの風景とは異質に見える。
槍が動く。
卑怯老師の腕が伸び、槍が伸びる。
老師Aは半身を捻る。槍は空を突く。
老師Aが素早く卑怯老師の懐へ潜り込み、正拳を放った。卑怯老師は吹き飛んだ。
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