初めて見る実物のロケットランチャーに、タダシは興奮していた。今までゲームの世界でしか見たことのないそれがそこにある。それだけでタダシは嬉しくなった。どうせこの2人も戦うのだろうから、ロケットランチャー老師を応援しよう。タダシは老師Aの仇と羨望の念を込め、ロケットランチャーを応援することにした。
例の如く2人の老師が対峙する。2人共が銃口を互いに向け、身動きしない。
静寂が流れる。
轟音。
爆風で公園の木々が揺れる。
ピストル老師は吹き飛んだ。
得も言われぬ爽快感にタダシは包まれる。
火力こそ全て。全ての少年達の夢がここに顕然していた。
そしてタダシは少し考えた。
……流石にこれはマズいのではないか?
そう思い至ったと同時にピストル老師はゆらゆらと立ち上がり、何事も無かったかのようにロケラン老師と握手を交わした。ピストル老師もまた、達人だった。ロケットランチャーでさえも達人には傷を負わすことはできない。タダシは人体の可能性に感謝し、天を仰いだ。
次は何が来るのだろう。タダシが胸を弾ませながら再び公園へと視線を送ると、ピストル老師は既に去り、広場の奥から渇いたベルト音が聞こえてきた。
テレビなどでは聞いたことがある音。だが実際に聞いたのは、これが初めてだった。
キャタピラの駆動音。
上部ハッチから、老人が顔を出している。 戦車老師が現れた。
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