戦車対ロケットランチャー。
勝てるのか、ロケラン老師は。
タダシは先の戦いでの火力に魅せられていた。戦車がいかに堅牢であろうとも、全てを殲滅させる圧倒的な力を、ロケットランチャーに信じた。
いけ、ロケットランチャー、僕らの想いを乗せて。タダシはそう祈った。
戦車のハッチが閉まる。
金属の擦り合う音と共に戦車の砲台がロケラン老師へと回り始める。回り切るまでの悪夢のような時間。砲台以外に動いている物はない。砲台が回る音以外には何も聞こえない。ゆっくりと、確実に、狙いを定めながら砲身が回る。
轟音。
砲台が回り切る前に轟音が響いた。
戦車は粉々に砕け散った。
打たれる前に打つ。ロケラン老師の必殺の戦略が悪夢の兵器を凌駕した。
タダシは気付かなかった。戦車がうだうだと攻撃準備をしている間に、打てばよかったのだ。当たり前と言えば当たり前だが、そこに気付くとは、さすが老師だ。武力だけではなく知力もまた優れている。タダシは人類が紡いだ知恵の結実に感謝し、天を仰いだ。
タダシは公園を見る。戦車の残骸の隙間から老師が1人這い出てくる。老師は物理攻撃では死なない。それはもう当たり前の事なのだ。2人の老師は握手を交わし、戦車老師は木々の隙間へと掃けていった。
もう終わりか?
タダシがロケラン老師の有終を讃えようと思った刹那、地響きが辺りを包んだ。
木々の陰から、公園の広場に人型巨大機動兵器が現れた。
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