僕の沈黙を無視し、ナスガキは続ける。
「そうですか…… いや、良い商売だと思ったのですが、まだ地球人には早かったようですね……」
少なからず可哀想にも見えてしまったので、僕は少しだけフォローする。
「何が早いのかはわかりませんが、料金設定の見直しと、営業先を熟考すれば、あるいは。あとは信憑性を高めてください」
そう言ってから気が付く。
言葉に出してみると、少し考えも変わってくるもので、考えてみれば僕にお金が無いだけで、もしかしたら上手いこと商売になる案件なのかもしれない。
彼のやり方が少々下手なだけで、もしかしたら、上手く立ち回ればそれなりに儲けられるのではないだろうか。
たぶん、宇宙人というワードのためなら金に|厭目《いとめ》を付けない人物は|五万《ごまん》といるはずで、なんだか勿体ない気もしてくる。
――何とか利用できないだろうか。
僕にも少し、そんなよこしまな考えが芽生え始めたが、彼は構わず続けた。
「アドバイス、ありがとうございます。でもまぁ、私もわりと早急にお金が必要でして……」
「お金……まぁ深くは聞きませんが、お互い大変ですね」
「ええ、嫌になります」
お金は僕も欲しい。
可哀想にも思えているが、何とか上手く誘導して、利用できないものだろうか。
「話くらいなら聞きますよ」
だから、そう答えた。
彼の信用を得て、上手く乗りこなすには、まずは相談相手となる必要がある。
するとナスガキは少し気を許したのか、トコロテンのように流暢に愚痴を練り出してきた。
おそらく溜め込んでいたものがあったのだろう。
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