「あの、ナスガキさん」
彼の愚痴の合間を縫って、僕は切り出す。
「はい?」
「地球征服には何が必要なんでしたっけ?」
今一度、確認をする。
「さっきも言いましたが、約1億の宇宙人と、大量のUFOです」
大量のUFO。
1億人。
……つまり8千万プラス複製。
「それが何か? 結局は借りてくれないんでしょ?」
――コイツはやはり、頭がおかしい。
もし彼の話が全て本当だとしたら、宇宙人のやろうとしていることは、決まっているじゃないか。
「あの、ナスガキさん」
僕は少し小声で切り出す。
「はい?」
「UFO 1台、レンタルはいくらでしたっけ?」
「まぁ、もう20万でいいですよ」
――そのくらいなら出す。
彼の話がどこまで真実なのかはわからないが、僕らが知らない間に、お金なんか稼いでも、幸せな日常を送っていても、全てが無意味な事態になっているのかもしれない。
であれば、試しに地球を脱出してみてもいい気はする。
「クレジットカードは使えますか?」
念のため、僕は確認した。
〈了〉
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