一週間後、滲み寄る⑯(終)

一週間後、滲み寄る



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「あの、ナスガキさん」

 彼の愚痴の合間を縫って、僕は切り出す。

「はい?」

「地球征服には何が必要なんでしたっけ?」

 今一度、確認をする。

「さっきも言いましたが、約1億の宇宙人と、大量のUFOです」

 

 大量のUFO。

 1億人。

 ……つまり8千万プラス複製。

 

「それが何か? 結局は借りてくれないんでしょ?」

 ――コイツはやはり、頭がおかしい。

 もし彼の話が全て本当だとしたら、宇宙人のやろうとしていることは、決まっているじゃないか。

 

「あの、ナスガキさん」

 僕は少し小声で切り出す。

「はい?」

「UFO 1台、レンタルはいくらでしたっけ?」

「まぁ、もう20万でいいですよ」

 

 ――そのくらいなら出す。

 

 彼の話がどこまで真実なのかはわからないが、僕らが知らない間に、お金なんか稼いでも、幸せな日常を送っていても、全てが無意味な事態になっているのかもしれない。

 であれば、試しに地球を脱出してみてもいい気はする。

 

「クレジットカードは使えますか?」

 念のため、僕は確認した。

 

 

〈了〉



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