「まぁ大変なのは理解しましたが、宇宙人にもお金が必要なんですね。もっとこう、科学の力で、お金なんか無くとも色々できるのかと思ってました」
何故僕は話を合わせているのだろうと、ふと思ったが、なんだかもう僕の彼に対するスタンスもよくわからなくなってきたので、話を促す。
「いや、アレなんですよ。宇宙人コミュニティでは、税金がかなり高いんですよ。しかも最近増税しまして」
……増税。
宇宙人からそんなリアルな単語が飛び出すのもロマンが無い気はするが、確かに人が集まれば規律もお金も必要なのかもしれない。
一体集めたお金を何に使うのかはわからないけど、それを言い出したら地球人の税金も同じ気はするので、疑問は伏せておいた。
ナスガキは続ける。
「なのでアレです。もう2万でいいです。借りてください」
余裕が無くなったのか、ナスガキは直接的に懇願してきた。
「いや、要らないです」
僕は即座に断った。
直接的に懇願されると、僕も直接的に断りやすいので、助かる。
仮に彼の話が全て本当だとしても、1人借りたところで話相手にしかならないと言うし、他人にバラしたら焼かれると言う。メリットなんて無い。
そもそもどこまで信じていいのかも怪しいわけで、つまり借りる必要なんて無いのだ。
しかし、僕の返事を受けナスガキは再びうつむいたので、悲しそうな丸頭を見ていると、少しは思う部分も芽生えてしまう。
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