一週間後、滲み寄る⑥

一週間後、滲み寄る



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 僕はナスガキの丸い顔に向かって聞く。

「えぇと、もう宇宙人を貸す、というのがもうよくわからないのですが、5万払えば1週間、宇宙人を借りられて、なんか好き放題できるということですか?」

「その通りです」

 実に胡散臭い。

「いや宇宙人って…… で、なんですか、僕は5万払えば地球征服、あるいは国家転覆とかできちゃうわけですか? 流石に信じられないのですが」

 どう考えても怪しい。

 おそらく新手の詐欺なのだろうけど、手口が荒唐無稽過ぎて逆に詐欺なのかどうかも疑わしい。

「そうですね。なんせ宇宙人ですから、世界征服も可能です。でもその場合、5万円だと厳しいかもしれません」

 

 ……ほら来た。

 なんだかんだ理由をつけて、気が付いたら異常な値段になっている。詐偽の常套手段だし、風俗のオプションサービスみたいなものだ。

 誰が騙されるか。

 

「どういう意味です、それ? レンタル期間の1週間では難しい、ということでしょうか?」

 とりあえず、僕は浮かんだ疑問をそのままぶつけてみた。

「いえ、5万と言うのはあくまで宇宙人1人につき、です。地球規模の征服であれば、1人では難しいという意味合いです」

 ……複数レンタルを勧めてきた。

 確かに、さすがに宇宙人1人だけではタコ殴りに合ってしまうのだろうけど、その手には乗らない。

 

「では何人くらい必要なのでしょうか」

「ざっと計算しても1億人は必要かと」

 

 ……やっぱり頭がおかしい奴だった。



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