しかし、やっぱり僕はさっぱりわからないので聞いてみる。
「あの、宇宙人を貸す、とは? よく意味がわからないのですが」
ナスガキは僕を見上げながら答える。
「そのままの意味です。宇宙人を貸します。おそらく、あなたは宇宙人を呼んで、人類滅亡だとか、国家転覆だとか、少し過激なことを目論んでいますよね?」
……その通りなのだが、改めて他人の口から聞くと自分が極悪人に聞こえるから不思議だ。僕はもう少し軽く考えていたというのに。
正直なところ、色々と上手くいかない人生の腹いせをしたいだけで、そこまで深くは考えていなかったし、なんなら本心では、ほんのちょっとだけ世の中にイタズラをしたかった程度のものなのだ。
「まぁ、言葉尻だけ聞くとイカついですが、おおむねその通りな気はしています」
「ですよね。宇宙人を呼んで行うことなんて、そのくらいのものですから」
もっと色々あるだろうとは思ったが、少なくとも僕はそう望んだことも事実なので、上手く言い返せない。
ナスガキは続ける。
「そんなあなたに朗報が。いや私、その道の者なのですが、中々お客さんが捕まらなくて。今なら宇宙人1人、1週間5万円で貸し出しますよ」
……どんな道の者なのかはわからなかったが、おそらく頭のおかしい人なのだということはよくわかった。
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