僕は言う。
「ナスガキさん、あのですね。僕は別に話し相手が欲しいわけではないんですよ。ほんのちょっとだけでいい、ちょっとでいいので、世の中に対して何かチョッカイを掛けて、憂さ晴らししたいくらいなんです」
「ちなみに言語が異なりますので、翻訳機はオプションで1週間3万円です」
……もう詐欺としての体裁も怪しい。下手過ぎる。
「いやホント、騙すならもうちょっと上手く…… なんですか、とりあえず1人借りて、その道のマニアとかマスコミとかかに渡してもいいんですか? であれば5万は破格ですけども」
「あ、秘密厳守で。誰かにバラした時点で宇宙人があなたを焼き殺しますので」
……いや結構ゴツいことが出来るんじゃないか、1人でも。
「いやもういいですよ…… 別に誰かを焼きたいわけでも焼かれたいわけでもないですし」
「それは残念です……」
僕が拒否すると、ナスガキは悲しそうに少しうつむいた。
詐偽グループの中で、営業ノルマでもあるのだろうか。
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