一週間後、滲み寄る⑧

一週間後、滲み寄る



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 もはや面倒臭くもなってきたのだが、上手く追い払う口実もないので、僕は少し話を促す。

 

「……ちなみに、宇宙人1人だと何ができるんです?」

「宇宙人単体で、ですか…… そうですね、キャトルミューティレーション、あの家畜を拐ったりするやつですが、それはUFOが必要ですし」

 的を射ない。

 僕は1人で出来ることを聞いている。

 

「……UFOは1台いくらですか?」

「1週間で30万です」

 なんで30万も払って家畜を拐わなければならないのか。

 いや、しかし、牛を丸ごと1頭買うよりは遥かに安いのか?

 でも別に牛1頭なんて要らない。仮に30万も出すならば、僕は毎日焼き肉屋へ食べに行く。

 

「いやさすがにポンと30万は出せないですよ。せいぜい1人分の5万円でも、なんかアレなのに」

 というより、そんな得体の知れないものにお金を払いたくない。

「そうですか……予算5万ですか…… 人間を誘拐して、何かチップとか埋め込むやつは、まぁ2~3人程必要ですし」

「……あとは?」

 別に予算が5万というわけではなく、得体の知れないものにお金を出したくないという事をわかってくれない。

 あと、別にチップなんて埋め込みたくはない。

 

「ミステリーサークルなんかは、やっぱりUFOが必要ですね」

「……つまり?」

「宇宙人1人だと、話し相手になるくらいですかね」

 

 ……ふざけてるのかコイツは。



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