「じゃあミサイルランチャーとかどうですか? ミサイルランチャーなら簡単なレクチャーを受ければ、撃つだけで強いですし、純粋な殺意の塊ですよ。さすがの大魔王もミサイル当たれば死ぬでしょ」
「そうだね……たぶん大魔王もミサイルなら粉々になるね。よし、ミサイルランチャーにしよう。ごめんだけど、ちょっとミサイルランチャー持ってきてよ」
「かしこまりました」
そう言うと、秘書はミサイルランチャーを取りに、玉座の間を出ていった。
数分後、秘書がミサイルランチャーを持ってきた。
「これは……イケる気がする」
魔王はミサイルランチャーを肩に担ぎ、呟いた。
「4発装填の最新型です」
「ありがとう。これなら間違いなく大魔王もビビるよ。よし……やってやる!」
大いなる武器を手にした魔王は、それだけでとてつもなく強くなった気がしてくる。
「大魔王の野郎、いつもいつも理不尽な小言ばかり一方的に言いやがって……人の事情も知らずにさ……見てろよ、目にもの見せてやる」
だんだんと気が大きくなってきたので、つい日頃の鬱憤を愚痴ってしまう。部下の前で愚痴を言うのは見苦しいかもしれない、と少し反省した。
しかし秘書は楽しそうな顔をしている。やはり悪口が好きなんだろうな、と魔王は思う。
「大魔王を倒すという意味では、もはや魔王様こそが真の勇者なのかもしれませんね。これからは魔王様とお呼びすべきか、それとも勇者様とお呼びすべきか、どうしましょう?」
「勇者で頼む」
魔王は即答した。
「かしこまりました、勇者様」
「うむ!」
魔王は勇者になった。
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