地図の果てから憂いを込めて④

地図の果てから憂いを込めて



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「じゃあ暫くは勇者が来ないってこと?」

 魔王は溜め息混じりに秘書に確認する。

「まぁ、そうですね」

「じゃあ僕の活躍の場は、どこにあるんだろう?」

 魔王は相談した。秘書は少し考えてから答える。

「そうですね……アレはどうですか? たまに中盤過ぎくらいに人間に感化されて、人間と共に戦っちゃうタイプの魔王とかいるじゃないですか。アレ、結構熱いですよね、相当な見せ場作れますし」

「……やっちゃう?」

 そういえば、その手があった。魔王はまんざらでもない。

「います? そういう人間と共通の敵みたいな奴」

「今まで言ってなかったけど、僕の上には大魔王がいる」

 魔王は正直に言った。

 少し間を空けて秘書が返す。

「え……マジですか。知らなかった」

 秘書は少し驚いている。

「じゃあ私は魔物達のトップの秘書じゃなくて、ただの中間管理職の部下だったんですか」

 秘書は不満そうに言う。

 魔王は慌てて謝る。

「ごめん、実はそうなんだ。わりと大魔王のことは秘匿事項なので、黙ってた。ごめん」

 話の流れで中間管理職という立ち位置を暴露してしまったことを、少し後悔した。

「別にいいですけど……なんか私のランクが下がったみたいで、正直ガッカリしてます。魔物界のナンバー2的なポジションだと思ってたのに、実際の格付けは中堅くらいだったわけですね。別にいいですけど」

 

 たぶん別に良くは無いんだろうな、と魔王は思いつつ、もう一度心の中で謝った。



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