ミサイルランチャーを担いだ勇姿を鏡に写し、魔王がうっとりとしていると、何だか玉座の間の外が騒がしい。魔物達が騒いでいるようだ。
「何かあったのかな……ごめんだけど、ちょっと見てきてよ」
「かしこまりました、勇者様」
魔王は秘書に様子を見てくるよう、外へと遣わせた。
暫くして、秘書が戻ってくる。
「どうやら勇者が来たみたいですよ」
「いや、僕が勇者なんだけど」
勇者になった魔王は、秘書の言っている意味がよく理解できない。
「いや、そうではなく。人間の勇者です」
どうやら本物の勇者が来たらしい。
「えぇ……今更来たの? せっかく僕にも勇者としての自覚が芽生えてきたのに。あの3メートルの奴はどうしたのさ?」
「なんかアイツ、インフルエンザで最近休んでるらしいですよ」
「……お大事に、と伝えておいて」
病欠ならば仕方がない。
「どうします? 3択ですね。素敵な散り様を見せつけるか、仲間にして一緒に大魔王を倒すか、それとも返り討ちにして魔王様が真の勇者になるか」
「えぇ……どうしようかな……どれがいいと思う?」
魔王は秘書に聞いた。
「それは魔王様が決めてください」
「どうしよう……ちょっと考えさせてよ」
魔王は焦った。
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