声に出して言ってみる。
リフレクソロジー。
リフレクソロジー。
リフレクソロジー。
カッコ良すぎる。
これはもう、何らかの特殊能力の名ではないだろうか。もはや哲学的な響きすら感じる。
一体リフレクソロジーが何なのかはわからないが、言葉の響きから察するに、ライバル的な存在が終盤に突如として会得してくるタイプの特殊能力に思えた。これはマズい。なんか反射タイプの能力みたいな響きがするし、きっとこちらの攻撃は全て無効化されてしまうに決まっている。となると、一体どうやって倒せばいいんだろうか。たぶんその戦いの中で、すったもんだの末に主人公が新たな能力に目覚める感じに落ち着くのだろうけど、一体、どうやって倒せばいいと言うのだろう。
――ワクワクしてきた。
こうなるともう、僕の頭はリフレクソロジーで一杯になる。こんなにカッコ良いものを嗜みつつ健康になれるのであれば、それに越したことはない。僕はリフレクソロジーを修得するため、スマートフォンで更に詳しく調べてみた。
――足つぼマッサージの一種らしい。
……いや、痛いのはいいや。
基本的に痛いのは嫌だ。
何故嫌かと言えば、痛い思いをしたくないので嫌だ。何故痛いと嫌なのかと言えば、つまり痛いから嫌なのだ。
となるともうリフレクソロジーに対する興味は無い。痛みを伴う改革なんて健全ではないのだ。
もしも健康が人類全ての望みであるのなら、痛みを嫌う人間も含めて全てを救ってみせてほしい。そもそも健康になりたいのであれば、もっと単純に、暖かくして寝ていればいいだけではないか。
無理をしない。
つまりは、それが一番だ。
そう思うと無性に暖かい所に行きたくなってくる。
スマートフォンで『暖かい地域』を検索してみると、暫くして、目が止まる。
バンダルスリブガワン
……ホントに何だこの響きは。
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