想いを繋げ、カムチャッカ⑥

想いを繋げ、カムチャッカ



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 もう少し調べたら画像も出てきた。

 クロワッサンを丸くして、より甘く仕上げたもののように見える。

 ――いや、これ、もうパンだ。

 僕は愕然とする。

 見る限りパンとも一概には断じることもできないが、雰囲気を察する限り、要は甘いパンだ。甘いデニッシュパンというか菓子パンというか、要はパンだ。少なくともデザートとは少し違うように見える。

 となると、さっき『デザート』とか頭の中で呟いてしまった自分が恥ずかしい。

 確かにアップルパイなどもパン屋で売ってはいるが、パン屋で売っている以上、それは菓子パンの範疇だし、食事として食べることもできる。食事として食べられるものであれば、デザートとは一概には言えないのではないか。となると、クイニーアマンも必ずしもデザートとは言えなくなってしまう。

 つまりまた恥ずかしくなってきた。

 つまりまた裏切られた。

 クイニーアマンは僕の心を裏切った。

 そうなると、もうクイニーアマンに対しての興味は失せる。むしろ許せない。僕に恥をかかせ裏切った菓子パンなどに、僕を幸せにする技量は無いのだ。

 それによく考えたら別に僕は甘い物が特段好きというわけではない。腹を満たしたいのであれば甘い物ではなくしっかりとした食事をきっちりと摂ったほうが体にも良いし、甘い物の摂り過ぎは体にも悪いのだ。体に良いか悪いかで言えば、当然良いものが良い。僕だって健康くらいは気にするわけで。

 となると甘いものなどよりも、僕の興味は健康へと移らざるを得ない。そう思って今度は『健康法』とスマートフォンで検索した。

 暫く画面をスクロールさせ、目が止まる。

 

 リフレクソロジー

 

 ……なんと優美な響きの言葉か。



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