想いを繋げ、カムチャッカ⑤

想いを繋げ、カムチャッカ



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 言葉に出して言ってみる。

 クイニーアマン。

 クイニーアマン。

 クイニーアマン。

 ヤバいなこれは。

 クイニーアマンが一体どんなものかは知らないが、何かカッコいいロボットとかの名前だろうか。クイニーアマンの前に適当な四字熟語を付けておけば、2クールくらいのロボットアニメが作れそうな気がする。

 宇宙戦士クイニーアマン。

 無双鉄人クイニーアマン。

 ――これは強い。

 どう考えても、強い。

 きっと勧善懲悪を基本としつつも、きっちりと敵側のドラマまで描いて一概にどちらが悪とも取れず、敵の美形幹部に女性ファンが数多く付くタイプの奴だ。たぶん社会現象になる。

 

 ――ワクワクしてきた。

 

 それにしてもクイニーアマンと連呼していたら、食べてもいないのに口の中が甘くなってきた気がする。

 やはり、これはヤバい奴だ。

 クイニーアマンこそ神が禁じた禁断の果実なのかもしれない。

 ……いや違う、果実じゃない。これはデザートだ。断じて水菓子ではない。

 僕は頭の中で訂正する。危なかった。もう僕は恥をかきたくない。恥をかいて、クイニーアマンまで嫌いになりたくはないのだ。

 頼むから、もう何も僕を裏切らないでくれ。

 しかし、それにしても語感が良い。

 クイニーアマン。間違いなく声に出して言いたい日本語のトップランカーだと思う。

 ……いや危ない。たぶん日本語じゃない。

 僕は頭の中で慌てて訂正する。二度と同じ轍は踏まない。これは洋菓子だ。断じて日本語ではない。フランスとかベルギーとか、だいたいそのあたりの言葉のはずだ。そんなつまらない思い込みで僕からクイニーアマンを奪わないでほしい。本当に危なかった。

 しかし、もはや僕の頭の中はクイニーアマンで一杯だ。

 どこで売っているんだろう。

 気になって気になって、仕方がない。

 僕はスマートフォンで少し調べてみた。

 ――洋菓子店、またはパン屋で売っているらしい。

 ……パン屋?

 まさかパンなのか、クイニーアマンは。



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