想いを繋げ、カムチャッカ①

想いを繋げ、カムチャッカ



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 カムチャッカ半島。

 

 ……なんて響きの良い言葉なんだろう。

 

 休日の午後、僕は誰に知られる事もなく、自室で一人、心ときめいていた。

 カムチャッカ半島が一体どういう所かなんて、全く持って知らない。

 でも、そんな些末なことなんてどうでもいいくらい、声に出した時の語感の良さが気持ち良く、すこぶる気に入ってしまった。

 

 カムチャッカ半島。

 

 声に出して言いたい日本語としてはトップクラスの性能を誇る気がする。

 それこそ日本有数の響きの良さだ。

 

 僕は座椅子の上で暫く連呼する。

 

 カムチャッカ半島。

 

 カムチャッカ半島。

 

 カムチャッカ半島。

 

 ――気持ちが良すぎる。

 僕は連呼せずにはいられない。

 この中毒性は、もしかしたらカムチャッカ半島は麻薬なのかもしれない。

 そのくらい、そう思う。

 しかし、こうも気持ちが良いとカムチャッカ半島そのものにも興味が湧いてきてしまう。どうせ暇なのだからと、僕はスマートフォンでカムチャッカ半島について、少し調べてみた。

 カムチャッカ半島と入力し、検索結果を表示させる。

 結果画面に、カムチャッカ半島の位置が大きく表示された。

 

 ――ロシア領らしい。

 

 ……てっきり、北海道かどこかだと思っていた。



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