空想未来少年リターンズ⑦

空想未来少年リターンズ



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 息子が中々に頭の悪いことを口走っている。

 しかし安心した。やはり、子供はこうでなくては困る。もしかしたらゲームや漫画のやり過ぎで、空想と現実の区別がつかなくなっているのかもしれないが、これでいいんだ。子供はわけの解らない頭のおかしい事を何も考えずに突拍子もなく話していればいいんだ。難しいことなんかに興味を持たず、ただただ考えを放棄して遊んでいればいいんだ。

 いや、何にせよ助かった。僕の息子としてはこの程度が丁度いいし、この程度の知的段階であれば色々とはぐらかせるだろう。所詮は我が子だ。

 安堵する僕に向かって、息子は更に意味のわからない会話を続けようとする。

「今からもう少しすると、世界中が大変なことになる。俺はそれを止めにきたんだ」

 他愛もない設定だ。何だか可愛らしい。

 最近まで息子の一人称は『僕』だった気もするが、そういう設定なんだろう。なんせ彼は30歳だというお話だし。

「タイムスリップ、いや、タイムリープって言うのかな。とにかく、そのショックで、色々と記憶が曖昧だったり、抜けたりしてしまったんだけど……」

 10歳にしてはよく考えられた設定だ。才能を感じる。



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