味覚の砂漠が狂おしい③

味覚の砂漠が狂おしい



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 僕は道を歩きながら、更に考える。

 

 ウナギを食べる。そこは揺るがない。となると今度はどう食べるかが問題となる。スーパーマーケットで買ってくるか、それともウナギ屋へ食べに行くか。

 やはりここはウナギ屋へ出向き極上のウナギを召したいところではあるが、スーパーマーケットで大量に購入したウナギを、最終決戦に赴くロボット兵の武装みたいにてんこ盛りにして、最高に下品に食べるのも悪くはない。

 

 目下の課題がどのようにウナギを食すかに移行した頃、芳しく刺激的な香りが僕を捉える。

 

 右手側を見る。

 

 カレー屋がある。

 カレー屋からカレーの匂いが漂っている。

 

 とても良い匂い。

 

 ……カレーも悪くない。

 

 僕の心は揺らいだ。

 

 しかし冷静に考える。

 僕は昨日、カツカレーを食べた。

 だから今日はカレーではない。

 でも人類にはまだ、カレーの匂いに打ち勝つ術は確立されていないわけで。

 別に2日続けてカレーでも構わない。

 僕はそう思い始めた。



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